栃木県日光市の中禅寺湖で1日、今季の岸釣りが解禁された。豊富な魚種が人気の「マス釣りの聖地」だが、2011年に起きた東京電力福島第一原発事故の影は晴れていない。
気温が零下だった午前5時。地元漁協による打ち上げ花火を合図に、釣り人たちが暗い中で一斉にさおを振り始めた。
埼玉県行田市から来た会社員の河辺祐也さん(47)は、2日前に現地入りして車中泊しながら解禁の瞬間を待った。国内ではここにしか生息しない大型魚レイクトラウトを、疑似餌のルアーで狙うためだ。解禁日に通うのは3年目という。「中禅寺湖はマス釣り愛好家の憧れの場所なんです」。この日朝、近隣の駐車場は県外ナンバーの車で埋まり、湖畔には釣り人たちが切れ目なく並んだ。
中禅寺湖には、もともと魚は生息していなかったとされる。明治時代以降に欧米人らがさまざまなマス類を放流。避暑に集まった外交官らが釣りを楽しみ、一帯はルアー釣りやフライフィッシングといった西洋式釣りの国内の発祥地となった。レイクトラウトのほか、ブラウントラウトやヒメマス、ニジマスなど多くの魚が釣り人を引きつけてきた。
中禅寺湖は、福島第一原発から直線距離で約160キロ離れた場所にある。原発事故の際、放射性物質が降り注いだ。
持ち出し禁止がもたらした影響
12年には、ニジマスやヒメ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル